第6次答申(案)
 
 
                             2005年10月12日
                              組織財政特別委員会
 
 
T.はじめに
 
@ 1990年2月に官民統一の連合北海道が結成以降、本年で15年を迎えるが、この間、連合北海道の運動を取り巻く環境は、すべてにわたって大きな変化に直面している。特に、組織人員がピーク時の33万人から5万人も減少する一方で、パート、派遣、契約など、多様な就労形態労働者の増加によって、組織率が20%を割り込み、連合運動の社会的影響力の低下は免れない状況にある。
 また、この傾向が続けば、財政的にも行き詰まることは明らかであり、連合運動の継続と発展のためには、活動領域や運動のあり方を抜本的に見直していくことが求められる。
 
A 一方で、経済のグローバル化が進む中で、市場万能主義、競争市場主義が社会の至るところで不公平・不平等を拡大させ「二極化」傾向が強まり、社会的歪みや格差が広がっている。加えて、雇用や生活不安、少子高齢社会の急進展、非典型労働者の激増、地球規模での環境問題や平和問題、地方自治体の財政危機など、労働組合が取り組まなければならない課題はむしろ増大している。
 
B 組織・財政特別委員会は、こうした連合運動を取り巻く環境の変化を的確に捉え、今後とも道内唯一のローカルセンター=連合北海道として、力強く発展していくため、今日の連合北海道・地協・地区連合、構成産別・単組のおかれている現状を直視し、足元の運動・活動領域を思い切って見直しつつ、それぞれの役割・任務の再確認、人的・財政的資源の見直し・再配分など、問題意識と方向性の共有化から出発した連合運動の改革に取り組むこととした。
 
U.今日的な最重要課題は何か
 
@ いま、連合運動が抱えている最重要課題は、一つには、労働運動にとって永遠不変の課題である組織拡大に向けた運動・体制の強化である。二つには、ローカルセンターに期待される役割の一つである産別運動に結集できない中小・地場・零細企業に働く労働者との連帯と支援体制の充実・強化であり、三つ目には、「安心、安定、安全」をキーワードに働く者・生活者の代表として、納税者視点に立って、社会システムの改革に取り組むことである。
 
A 結成から15年の間に組織人員が15%にあたる5万人も減少したことに危機意識をもち、「30万組織」への早期回復、結成以来の目標である「50万連合北海道」の構築に向け、特に組織化が遅れている中小・地場に働く労働者やパートなど非典型労働者の結集軸を打ち立てるなど、組織拡大の取り組みは、もはや「待ったなし!」の状況にある。
「百の決意」や「スローガン」よりも、一つの行動計画と目標管理をしっかりと詰め切ることである。
 
B 不況の長期化は、地方経済を直撃するとともに、加えて、国の財政構造改革の下で地方自治体が財政危機に陥り、中小・地場の労働者のみならず地方公務員労働者は、雇用不安の高まり、労働条件の切り下げなど、生活条件は悪化の一途にあり、ローカルセンターとしての真価が問われている。
 
C 地方分権の推進により「地域主権社会」を創造する時代に入っている。その下では、地域における組合員・家族、市民が自らの責任で自治を決定し、責任を負う、そして、安心で活力あるコミユニテイと地域社会を築き上げていく努力が求められている。まさしく、地域に根ざした顔の見える連合運動の推進と強化が不可欠となっている。
 
D 今日、働く女性は増え続け、経済社会における女性労働者の役割は一層増大している。しかし、一方では、依然として雇用を含むあらゆる分野で男女間格差が存在し、パート労働者は増大するが正社員との格差は拡大を続けている。
 男女の雇用平等、仕事と家庭の両立、パート労働者など非正社員労働者の均等待遇の実現をはじめ取り組む課題は山積し、労働運動が男女平等参画推進に取り組む意義と緊急性は、その社会的役割から言っても、これまで以上に高まっている。
 
V.運動の改革に向けた活動領域の絞り込みと重点化
 
@ 前述のごとく、今日、ローカルセンター・地域労働運動が果たすべく役割は一段と高まっている。
 しかしながら、連合北海道を構成する産別・単組の役員体制は、組織人員の減少とともに、地方・地域を問わず、結成当時に比較して大幅に縮小している。
 
A それだけに、連合北海道・地協・地区連合、構成産別・単組の役割分担を明確にし、いかに全体としてのパワーを発揮していくかの視点で、人材と資金の効果的な投入、活動領域の選択と集中化をしていくかである。その際、基本スタンスは、以下の通り考えるべきである。
 
1. 組織拡大の取り組み
1)組織化を中心とした新しい労働運動戦略
@ 組織率の低下・組合員の減少には、90年代以降の不況の長期化、経済のサービス化が大きく影響している。しかし、経済・産業事情のみでなく、労働組合の組織化活動が弱まっていることも見逃してはならない。
 一方で、経済のグローバル化が進み市場万能主義、競争至上主義が社会の至るところで不公正や不平等を生み出し、労働者の尊厳と社会的公正を求めて、労働組合への働く者の期待は決して低くない。
 
A 連合北海道は、組織拡大を最優先課題として、連合を構成するすべての産別組織とともに、組織化を中心とした新しい労働運動戦略の下で、職場、地域で働く者が進んで参加できる労働組合を創り出す条件は何か、組合未加入の働く人の関心を結集できる新しい労働組合モデルは何かなど、今一度原点に立ち戻り、関係者が活発かつ広範な議論を興すことである。
 
B その下で、自ら足元の組織・活動を見つめ直し、組織化が遅れている女性、若者、パート労働者、中小・地場産業労働者、失業者などが積極的に参加できる労働組合に脱皮していくことである。
 
2)組織拡大の役割分担の明確化
@ これまで連合は、「組織拡大は産別の役割」との基本方針で進めてきた。しかし、ローカルセンターのフォロー無しでは連合に結集できない中小・地場産業労働者が多数存在すること等から、改めて、組織拡大の役割分担を明確にして、連合北海道に新設された「組織拡大センター」と地協・地区連合、構成産別・単組が相互に連携を取り合うシステムを確立していく必要がある。
 
A 構成産別の役割は、中小も含めた構成産別関連の組織化とし、連合北海道は、構成産別ではフォローできない中小・地場の組織化を担う。
 また、急増するパート労働者など非典型労働者の組織化は、構成産別・連合北海道が互いに連携して、その役割を担うこととしていくべきである。
 
3)「地域ユニオン」の抜本強化
@ 連合北海道は、個人や小規模地場企業の組織化を積極的に担うため、現行の地域ユニオンの運動を強化発展させる必要がある。
 
A 具体的には、連合北海道や地協が主体となって、
  ア)個人や100人未満の単組の組織化・加盟促進に向けた戦略方針を確立する、
  イ)地域ユニオンの活動や専従体制も含めて、自主的な運営が可能となるよう組合費    ・加盟費の水準見直しなど財政基盤を確立していく、
  ウ)その際、地域ユニオンは地域ローカルの構成組織として連合北海道への権利・義    務は既存の構成産別と同等とする、
  エ)現存する地区連合直加盟組合についても、早急に(2年以内に)産別移行もしく    は地域ユニオンに登録する、
など、地域ユニオンの抜本強化策を早急に検討していくべきである。
 
2.中小・地場組合に対する支援体制の強化
1)労働運動の活性化に必要な中小・地場企業対策
@ 道内の企業は、その99.86%(従業者数で91.13%)が中小企業で占め、名実ともに道内経済と雇用を支えているが、経営基盤の脆弱さ等から、雇用問題や大きな労働条件格差、一部ではワークルール無視の労働慣行など、様々な課題を抱えている。
 
A 道内の中小・地場企業における労働組合の組織化状況は僅か2.25%と圧倒的に未組織状態にあり、道内経済の発展と労働運動の活性化には、中小・地場産業に働く労働者の積極的な参加できる体制をいかに作り上げていくかに掛かっている。
 
2)支援体制の充実に向けた課題
@ ローカルセンターである連合北海道は、そうした労働の現場で起こっている問題や職場が抱えている課題を正面から捉え、中小・地場産業に働く労働者の視点から雇用安定・労働条件の底上げ・ワークルールの確立が重要な任務の一つであるとの認識にたって連合北海道・地協・地区連合、構成産別・単組が一体となった支援体制をより充実していく組織基盤の確立を図っていくことである。
 
A 具体的には、
  ア)中小・地場・零細企業労働者へのアプローチとフォローアップの強化に向けた体    制確立、
  イ)中小・地場・零細組織に対して、交渉力の強化、情報の提供、経営分析力の習得    などの支援・指導体制の確立、
  ウ)支援体制をより充実していくための「連帯活動資金」の有効活用、
および、これらに対応できる人材の育成について検討していくべきである。
 
3.政策制度要求の絞り込みと実現力の強化
1)「要求と提言」のデータ化と政策内容の深化
@ 政策・制度の取り組みは、連合運動の社会的力量と評価を示すバロメーターであり、連合北海道の存在感と存在価値、さらには、その求心力を高めるものでなければならないと考える。
 
A 連合北海道の政策・制度に対する取り組みの柱は、道および国に対する「要求と提言」であり、今後もこの基本は、変わらないものであるが、これまでの「要求と提言」や経済団体への各種申し入れ、社会問題に対する見解・談話などについて、データ化(体系・蓄積化・評価化)するとともに、今後の政策・制度の取り組みについては、これまでの「要求と提言」型から、「要求・提言・対案」型へと深化させていくなど、政策立案能力をさらに高めていく必要がある。
 
B 同時に、政党との連携や国会・議会共闘、世論形成など、政策を実現するための多様な枠組みについて、より整備し拡充する必要がある。
 
2)「要求と提言」の集約(現場視察含む)および評価システムの再確立
@ 前記−1)の改革方向を踏まえると、「要求と提言」の集約のあり方検討や結果についての評価が行われなければならない。
 現在の「要求と提言」は、これまでの要求などを精査して「素案」を連合北海道が提起し、各産別からの意見、補強により、連合北海道・政策委員会で集約確認している。
 
A しかし、各産別や部門連絡会を超えて存在する道民的な課題については、各地協・地区連合とも連携しながら、あらかじめ重点化し、現地調査(視察)や関連団体との意見交換を行うなどの取り組みが必要ではないかと考える。
 また、すべての地協、地区連合においては、地域要求をきめ細かく積み上げ、地域で自己完結していくことによって、顔の見える運動になるよう、連携を強化していく必要がある。
 
B さらに、「要求と提言」の結果に対する評価システムについても、2004年度は「まとめ」として作成したが、2005年度からは、さらに改革していく必要がある。
 
3)「産別交流・政策討論集会」の具体化
@ 連合北海道が官民統一して15年、「顔合わせ」「心合わせ」「力合わせ」は、政策・制度の取り組みにおいて、どう進んだか。各産別には、それぞれの産業政策と労働組合としての方針が存在する。
 したがって、政策要求に対する内容やスタンスについて、産別間に差異を生じることがあるが、それが国民的・道民的課題であれば、連合全体として、どのように共有し取り組んでいけるか、が課題となる。
 
A 小泉構造改革があらゆる分野で二極化・二分化を増長させているときに、社会に向かって改革を主張するためには、「うちなる合意と信頼の形成」は、決定的キーワードとなる。
 連合北海道内における組織的信頼をより醸成させるためにも、「産別交流・政策討論集会」の開催とルール化が重要と考える。
 
4)政策スタッフの拡充(産別派遣政策研修員制度、政策委員会の活性化)
@ 連合北海道は、2005年度から局体制となり、政策調査部(2人)は、広報道民運動部(3人)と統合されて、政策道民運動局(4人)となった。政策、道民運動は、いずれも今後の連合北海道の運動として拡大基調にあるものと考える。
 したがって、政策部門の体制については、2001年度4人体制、2002年度3人体制、2003年度から2人体制という経緯を考慮すると、何らかの拡充方策の検討が必要であると考える。
 
A そのためには、一定期間(2〜3年)産別から政策スタッフ(2〜3名)を受け入れる「派遣研修員制度」導入を検討し、できるだけ早期に実施していくことが必要であると考える。併せて、この制度導入に伴う財政負担のあり方についても、検討が必要である。
 
B さらに、
  ア)連合北海道内の各局との連携強化と総合力発揮、
  イ)各部門連絡会との有機的な連携、
  ウ)幹事会による政策委員会の機能強化と活性化、
  エ)他の研究機関などとネットワーク化、
などを通じて、政策立案能力と実現力を高めていく必要がある。
 
4.地域における社会参加活動の取り組み
1)道民の共感を呼ぶ運動への脱皮
@ 今日、地域社会で求められているのは、地域住民としての組合員や市民の生活上のさまざまな悩みを解決していくこと、さらには住みやすい地域社会を創造するために、勤労者の立場に立った政策提言を不断に行う、「地域に顔の見える」存在をめざしていくことである。
 
A 連合運動が道民の共感を呼ぶ運動に脱皮していくには、地域における組合員・勤労者の生活全般のサービス機能は連合北海道と地協・地区連合が担う、職域は構成産別・単組の責任で担うなど、お互いの役割分担を明確にしつつ、地域社会に貢献する新たな地域労働運動を創造していくことである。
 
2)広範なネットワークで新たな労働運動の展開
@ 連合北海道と地協・地区連合の運動を担う一人ひとりが勤労者の顔だけではなく、生活者・消費者・地域市民としての視点を重視し、NPOや市民団体とのネットワークを拡充しながら、地域から新たな社会的な労働運動を起こしていくことでもある。
 
A 具体的には、
  ア)様々な生活相談の個別解決の積み重ねをまとめ、政策提言をしていく機能、
  イ)NPO・ボランテイア団体とのネットワーク機能、
  ウ)労福協や労金・全労済・住宅生協・医療生協などと連携した共助の機能、
  エ)勤労者の多岐にわたる生活上の相談に対応する機能、
  オ)住みやすい環境、街づくりをプランする機能、
  カ)いつでも退職者が集まれる場としての機能、
  キ)中小・地場・パート労働者などから日常的に頼りにされる拠り所としての機能、など、地協・地区連合が連合北海道と一体となった活動を展開していける機能と推進体制の整備が必要である。
 
5.地域から政権交代可能な政治勢力の基盤確立
1)連合北海道の基本的な役割
@ 戦後日本の半世紀にわたる政治、経済、社会システムの総体が根源的に変革が迫られていることは明白である。しかし、自民党小泉政権の「構造改革」路線では、新しい価値観のもとでの市民生活の安定と社会的公正をはかる改革はなしえない。
 
A 連合は、「労働を中心とした福祉社会」の創造をめざし、政策の実現と政権交代を連合の政治活動の主要な目標であることを改めて確認する。
 そして連合北海道の基本的な役割は、地域から政権交代を可能にする政治勢力の基盤確立であることを全体で確認し、勤労者・市民を基盤とした政治勢力の形成・拡大のための機能を発揮できる体制を強化していく必要がある。
 
2)地協・政治センターの設置
@ 連合北海道は、構成産別と連合北海道の政治活動を一元化することを目的に2000年2月に政治センターを設置し、政権交代の実現に向けた「二大政党的体制の確立」をめざして、民主党を基軸に支持・協力関係の強化に努めてきた。
 特に、第43回衆議院選挙と第20回参議院選挙においては、道内的には比例代表で自民党を上回る得票獲得するなど、政権交代の実現に向けて大きなステップを築いてきた。
 
A 一方で、政治不信と政党離れは労働者の中に広がっており、組合員一人ひとりの政治意識の向上と、それに依拠した政治活動の強化が組織的な課題となっている。
 昨年度には、政治センターに専任の幹事長を配置して、民主党北海道との日常的な連携強化に努めてきた。
 
B 今後は地協においても政治センターを設置し、選挙時のみの協力体制ではなく、連合・民主党の定期協議をはじめ、国会議員・道議会議員・市町村議会議員とが一体となった国会・議会報告や日常的な地域課題について政策提言・研修などの充実を図るべきである。
また、民主党を基軸にした地方議員の拡大に努めていかなければならない。
 
C なお、地協段階における政治センターの活動資金対策については、第5次答申から継続検討課題としてきたが、連合本部の地協改革指針において、地協における「基金類の特別会計は原則として設けない」としており、連合北海道が一元的に取り扱うこととする。
 したがって、政治センター設置に伴う日常活動経費は、地協・地区連合の一般会計予算で賄うものとする。
 
6.男女平等参画の着実な推進
1)連合運動における女性参画の実態
 連合北海道は、2004年10月の第17回年次大会で「男女平等局」を新設し、男女平等参画について、運動の抜本的な強化をめざすこととした。
 しかし、2005年2月〜3月に実施した連合北海道「第4回男女平等参画アンケート」(回答状況は、産ベル33/53、地協13/13、地区連合34/211)からは、次のような実態が結論づけられる。
 
@ 産別運動への女性参画は進んでいない
 連合北海道を構成する産別の組合員総数に占める女性の割合は、29.18%(平成16年労働組合基礎調査)と今後も増加傾向で推移していくと考えられるが、産別アンケートによれば、女性執行委員比率は、8.39%(33産別が回答、執行委員総数344名中25名)、大会など決議機関への女性参画では、代議員総数の10.91%、(30産別が回答、代議委員総数2,89名中228名)、特別代議委員では、11.29%、傍聴者は10.04%であり、産別運動への女性参画は、進んでいるとは言えない。
 
A 地協では女性参画はスローガンに終わっている
 産別と同様に、地協のアンケート(全13地協が回答)を見ると、地協執行委員会での女性執行委員比率は、わずか2.3%(128名中3名)で、13地協中10地協が女性執行委員がゼロである。
 地協定期総会への女性参画は、5.62%(代議員総数908名中51名)で、女性参加がゼロは、3地協というのが実態である。総会および執行機関等への女性参画を推進するため、連合北海道「男女平等参画推進計画」(2001年11月〜2006年10月までの5ケ年計画)を策定しているが、地協における女性参画は、スローガンに終わっている実態といえる。
 
2)新たな「男女平等参画推進計画」の策定へ
 連合北海道は、以上のような実態について深刻に受け止めて重要検討課題とするとともに、これまでの組織運営や活動のあり方について検証を加えていく。
 当面は、男女平等局と女性委員会の連携、連合北海道男女平等参画推進委員会の機能と活動の強化をはかるとともに、各産別、地協との連携を図りながら、執行機関への女性参画の促進や大会等の決議機関への女性代議員枠の設定、さらには、必要な規約・規程の改正や組織運営の見直しなどを重点に具体化していくとともに、あらたな連合北海道「男女平等参画推進計画」(2006年11月〜)を策定していく。
 
7.平和・道民運動の統一・拡大へ
1)これまでの検討経過
 連合北海道は、民間先行から官民の統一を果たして15年が経過した。平和・道民運動
の課題については、発足当初、その多くが不一致課題とされ、継承団体の存続とともに移
行されたが、同時に、組織・財政特別委員会においては、北海道における唯一のローカル
センターとして、旧来の労働団体の枠組みを超越した幅広い運動展開の必要性が投げかけ
られてきた。そして、継承団体の解散方向を打ち出すとともに、平和・道民運動課題の論
点整理、連合北海道を結集軸とする「平和と軍縮」を求める運動の統一・拡大についての
提起が行われてきた。
 こうした経過を踏まえ、組織・財政特別委員会のもとに道民運動課題検討小委員会を設
置し、運動課題毎に現状と課題について検証するとともに、今後の整理方向についても検
討を行い、組織・財政特別委員会において確認した。(この内容については、付属資料=
「平和・道民運動課題に関する整理について」を参照)
2)統一・拡大に向けて
 連合北海道は、以上のような検討経過にもとずき、2006年度から2007年度を実
施年度とし、今後の方向性が示されている運動課題について、段階的移行を原則とし、実
施していくこととする。
 さらに、移行実施にあたっては、関係団体などとの連携をはかるとともに、移行実施の
状況を判断しながら、連合北海道における平和・道民運動体制のあり方についても構想し
ていく必要がある。
 
 〈段階的移行区分〉
 
  @一致点拡大の方向でさらに継続検討
 
  A統一・拡大に向けての具体的検討・協議
 
  B実行委員会方式など取り組みへの移行
 
  C連合北海道が主催する取り組みへの移行
 
 
8.ボランテイア・サポートセンターの設置
 連合北海道は、南西沖地震(1993年7月)や有珠山噴火災害(2000年3月)に
おける道内外からの多くの災害ボランテイアによる被災地での様々な支援、さらに、DP
I世界会議札幌大会(2002年)での会場設営等ボランテイアの派遣など、労働組合の
社会貢献活動への期待と組合員自身のボランテイア・ニーズの高まりを踏まえ、この間、
ボランテイア・サポートセンターの設置について検討してきた。
 さらに、新潟中越地震災害(2004年10月)では、ボランテイア派遣に関する事前
調査団を現地に派遣し、2004年11月28日から28日間、一般公募者を含むめると
延べ106名の「連合北海道ボランテイア」が新潟県長岡市、小千谷市、川口町で活動し、
高い評価を得ている。
今後においては、災害発生時における救援・支援活動を組織的に取り組むリーダーの育
成と組合員の日常的なボランテイア活動を支援する「連合北海道ボランテイア・サポートセ
ンター」を設置し、人的ネットワークの拡大と継続した取り組みが必要である。さらに、
近い将来、労働福祉団体やDPI、NPO団体などとの連携をはかり、「北海道勤労者ボ
ランテイア・サポートセンター」(仮称)の設置を構想していくべきと考える。(付属資料
=「北海道勤労者ボランテイア・サポートセンター(仮称)設置基本構想(案)」参照)
W.事務局体制のあり方と人材育成・研修員制度の導入
1.執行役員体制の構成
@ 執行役員体制については、90年2月に官民統一の連合北海道を結成した当初は、官民バランスを念頭におき、会長、会長代行、副会長6名、事務局長、副事務局長2名、執行委員4名、会計監査5名の体制でスタートしている。以降、組織機構の改定に伴う変遷を経て今日に至っている。
 
A 91年にプロパー役員制度導入に伴う執行委員1名増と女性部設置による特別執行委員1名増、93年に労働福祉活動推進本部の設置と特別執行委員−1名増、95年には連合本部の「地方交付会費制度」の導入−財政と執行体制のバランス調整による専従役員の縮減(執行委員1名欠員で対応)、97年では副会長を産業部門別ブロックの選出に変更、99年には副会長定数を7名から6名へ、男女平等参画推進で女性枠特別執行委員1名増を行ってきている。
 
B 現行の体制は、03年の第4次答申により、会長、会長代行、事務局長、副事務局長2名は当面継続、副会長定数を6名から7名へ、執行委員を4名から7名(うち女性枠2名、青年枠1名、何れも非専従)、会計監査5名を継続となっている。
 この間、副事務局長については91年の第1次答申で「将来的には効率的な執行体制をめざす立場から一名体制が望ましい」としてきたが、都度の人事バランス等を勘案して現在まで2名体制を継続している。
 
C 次期における執行体制については、会長(専従−1)、会長代行(非専−1)、事務
局長(専従−1)、とし、副会長(非専)の定数は、公務部門の地公・国公等が抱える課
題の緊急性を考慮して、公務部門を1名増して副会長8名体制とする。
(公務部門−3、金属機械部門−1、資源エネルギー部門−1、交通運輸部門−1、情報
通信サービス部門−1、サービス流通部門−1)
 副事務局長及び執行委員の定数問題は、専従役員体制の構成等を考慮して、副事務局長
(専従−1)、執行委員(専従−5)とする。また、女性枠執行委員は男女平等局担当を
専任で配置し1名増(非専−3)、青年枠執行委員(非専−1)、会計監査(非専−5)としていく。
とする。
 
2.事務局体制と専従役員の定数
@ 事務局体制は、現在、8名の専従役員(会長、事務局長、副事務局長2名、執行委員4名)と事務局スタッフ9名、派遣1名、嘱託2名の計20名体制で運営している。
 昨年度は、第5次答申の具体化に向けて、組織拡大運動など重点課題にシフトした体制と運営をはかる観点で業務分掌の見直しを行い、事務局体制を6つの専門部から4局体制に再編、組織拡大に関する事項を専門的に対策する「組織拡大センター」を設置するなど、業務の効率化と重点化を進めてきた。
 
A 一方、連合本部が示している地方連合会事務局体制の改革(案)では、連合北海道の
場合、会費納入人員に応じた専従役職員上限定数の目安はBランクの12名 、組織人員
に対応する場合には16人となっている。また、専従職員の配置基準が本部交付金の算定
根拠にしていくことから、引き続き、事務局運営の改革に向けて、業務の徹底した見直し
を行い、業務の効率化と重点化を進めていく必要がある。
 こうしたことから平和・道民運動の統一・拡大やボランテイアセンターの設置など新た
な課題に対応する事務局スタッフの増強については、今後、既存スタッフ+人材育成も念
頭においた構成産別からの派遣研修員制度を創設により対応していくものとする。
 
X.地協・地区連合の組織基盤の強化
1.地協・地区連合の機関運営の改革
1)「タテ軸」の指導と「ヨコ軸」の連帯
@ 労働運動を取り巻く環境が大きく変化する中で、組織拡大の取り組み、中小・地場組合に対する支援強化、政策・制度実現の取り組み、社会参加への活動、政治活動の取り組み、平和運動の展開など、地方・地域の労働運動が果たすべき役割は益々高まっている。
 
A これら課題の着実な前進を図るには、いかに「人、モノ、カネ」の資源を地域に根ざした活動にシフトしていくか、連合運動を産別「タテ軸」の指導強化と地域「ヨコ軸」の連帯強化によって如何に活性化していくかが課題となっている。
 
2)地域運動の活性化に向けた見直し・改革の視点
@ 個々の課題の取り組みについて、「何を重点に、誰が、いつまでやるか」具体的な対策を詰め切る組織体質とシステムづくり、組織活動、機関会議・運営会議、事務局体制については、建前やタブーを乗り越えて「残すもの、止めるもの、新たに加えるもの」の視点を重視した議論を起こしていくことである。
 
A 特に、地協・地区連合の機関会議・運営会議の構成員・開催頻度のあり方や運営の改革にむけて、連合・構成産別を取り巻く問題・課題について「認識の共有化が図られているか」、機関会議等は「報告・手続き主義に陥っていないか」、などを総点検していく必要がある。
 総会や執行委員会、各種運営会議等の開催に際しては、論議を掘り起こす方向で課題を組み立て・提起するなど、地域運動の活性化に向けた見直し・改革の視点が重要である。
 
2.地協・地区連合の設置基準と地協交付金制度の再整備
1)地協・地区連合の設置基準
@ 連合北海道は、行政区単位を基本に13地協と、その下に市町村地区連合・支部連合の地域組織を配置している。
 現在、市町村合併特例法の下で市町村合併が進められているが、これに伴う連合の地区組織は、これまで同様に一自治体一地区連合を基本に、組織・財政・運営を一元化した新地区連合に順次、再編していくこととする。
 なお、統合された町村には支部の設置を可能とし、日常活動の連携・強化を図っていくこととする。
 
A また、地協の再編については、連合本部のガイドライン(地協設置単位=単組数20組織以上、組織人員5,000人以上)を一定の目安におきつつ、行政区の支庁をまたがる市町村の合併(渡島支庁の八雲町と檜山支庁の熊石町)を踏まえ、当面は檜山地協と渡島地協の統合を検討していくこととする。
 なお、その際、統合される地協所在地の地区連合には、統合により運動が停滞しないよう域内の地区連合・単組との連絡調整がとれる体制整備をしていく必要がある。
 
2)地協財政の確立と交付の再整備
@ 地協交付金については、93年に地区連合結成に向けた地協財政基準を設定して以降、96年には新財政計画に基づく専従者未配置地協に対する専従対策、地区連合拠出金の激減緩和措置、02年の地協財政改善対策などを行って今日に至っている。
 連合本部が構想する「モデル地協」の年間予算は、専従(役員1人、パートを含む職員1人)を配置し、自前の事務所を確保して活動している地協で、ア)還元金・人件費800〜900万円、イ)事務所費100〜150万円、ウ)活動費150〜250万円、エ)総務・会議費等150〜200万円等を積み上げて、計、1,200万円〜1,500万円程度としている。
 
A 地協財政は、これを契機に、連合本部の構想を一定の目安(参考)に置きつつ、これまで同様に連合北海道からの交付金と地区連合からの拠出金を基本に見直し・確立していくこととする。
 その際、組織人員の減員に伴う地区連合拠出金の激減等も考慮するとともに、96年の新財政計画に基づく改善措置および02年の地協財政改善対策で実施してきた特別交付金・専従対策交付金も含めて、地協財政基準の考え方を全般的に見直し、別紙の通り、地協交付金を再整備していくこととする。
 
3.地域活動を担う人材の育成・確保
 
@ 地域運動を大きく前進させていくには、次代を担う活動家の育成・確保に向けて、青年や女性の活動への参画、人材の育成(登用)を推進するなど、地協を構成する産別が積極的に協力・支援するための責任分担のあり方について、各地協内において議論構築して人材育成の中期ビジョンを持ちながら運動を進めていく必要がある。
 
A また、広範で多様化する組合員や市民ニーズに応えるサービス活動の体制確立に向けて、豊富な知恵と経験を持つ組合員や退職者をはじめ、労金・全労済など事業団体、顧問弁護士、推薦議員団、NPO団体などをネットワーク化し、相談活動等のすべてを地協専従者が担うのではなく、様々な分野で知恵やノウハウを持つ地域内の個人や団体の力を結びつけていく仕組みを構想していく必要がある。
 
4.地域活動資金の納入率向上対策
 
@ 地域運動を担っている地区連合の財政は、基本的には地区連合の構成産別が組織人員に応じて拠出する地域活動資金(地区連合の月会費=300円/人)により運営されている。 地区連合財政の最大課題は、連合北海道の財政と同様に組織人員の減員に伴う会費収入の減少である。
 
A 第5次答申では、地区連合結成時の会費納入率の指標(旧総評系70%、旧同盟系40%、旧中連系20%、純中立系10%)を示し、これに達していない産別は、当面、その達成にむけ努力していくこととした。
 しかし、具体的には改善されていない実態にあり、未達成の産別は、改めて結成時の指標を努力目標として確認し、産別道本部段階からの対策を強化していくこととする。
 
B また、既に努力目標を達成している産別は、全体の努力目標である組織人員の70%納入に向けて、段階的に引き上げていく対策を講じていくこととする。
 連合北海道、地協・地区連合は、それぞれの組織事情の把握に努め、産別毎の改善対策を個別・具体的に詰めていく必要がある。
 
5.連合スクラム共済の加入促進対策
 
@ 連合スクラム共済は、働く仲間一人ひとりが互いの生活を守り・助け合うことを基本理念に、組織と職場をこえた労働者の連帯と地場中小企業に働く仲間の福祉向上をめざし、地域における労働者共済運動として取り組んできた。
 
A 特に、このスクラム共済は、地協の収益事業として取り扱い、加入件数に応じた事務手数料等の協働活用などで、中小・地場組合への支援・連帯活動に貢献している。
 しかし、連合北海道全体の加入状況は、組織人員の20%強に止まっており、改めて、連合スクラム共済の加入・拡大に向けた運動を再構築していく必要がある。
 
 
Y.財政に係わる事項
1.中期財政見通しと財政改革の視点
1)財政状況と見通し 
@ 連合北海道の財政は、基本的には構成産別の加盟会費(150円/月×納入人員)と連合本部からの交付金により運営されている。
 2005年度予算の収入規模は、約5億円であり、内訳は会費収入3億2,157万円(64.3%)、本部交付金1億4,445万円(28.9%)、繰越金3,347万円(6.7%)となっている。
 
A 現在、連合本部において地方交付金制度の抜本改革が検討されているが、連合北海道への交付金は改革がスタートする2006年7月以降も、これまでとほぼ同規模で確保される見通しにある。
 しかし、連合北海道の組織人員275,700人に対して納入人員は178,500人と64.7%に止まっている。今後の組織人員の減員に伴う会費収入の減少を補っていくには、会費納入率を如何に引き上げていくかが課題となっている。
 
B 一方、支出予算の規模は約4億6,789万円であり、うち固定的支出2億405万円(40.1%)、活動費1億2,732万円(25.5%)、地協交付金が1億2,840万円(25.7%)、その他(退職積立金、借入金返済)812万円(1.6%)、予備費3,220万円(6.4%)である。
 
C 固定的支出は、人件費が約1億5,279万円(30.6%)、総務費約2,450万円(4.9%)、事務所費1,376万円(2.8%)、大会費を含む会議費が1,300万円(2.6%)となっている。
 活動費と地協交付金を合わせると約2億5,572万円で支出予算全体の51.2%を占め、固定的支出よりも活動的支出予算の割合が高い状況にあるが、連合北海道が今日抱える運動課題が多岐に渡っている中では、活動的支出は極めてタイトな予算となっている。
 
D したがって、今後、地協機能の強化に向けた財政措置、産別派遣役員還元金の引き上げ、平和・道民運動の拡大など年間で2,000万円程度の支出増が見込まれることから、当面、これに対応する会費収入増の確保に向けて、別紙の通り、構成産別毎の会費納入率引き上げ目標を設定するなど、具体的な対策を講じていくこととする。
 
2)財政の効率的運営と重点配分
@ 今後ともローカルセンターとして力強く発展していくためには、連合北海道、地協・地区連合、構成産別が、それぞれ一歩踏み込んだ責任体制と財政の効率的運営をはかる視点で、運動・活動に掛かる経費を思い切って見直していくことが重要である。 
 
A 財政構造の改革にあたっては、実績主義にとらわれることなく、運動・活動の選択と集中化をはかり、連合運動にとって、いま、最も重要な課題である組織の拡大、次代の運動を担う人材育成、地域運動強化に向けた地協財政の確立などに、思い切って財政配分を行っていくべきである。
 特に、労働運動の活性化には、「地域運動・職場運動に元気を取り戻すことである」との視点で改革にあたるべきである。
 
B また、地域運動の強化に向けて、地協財政の強化と効率的活用をはかるため、可能な限り、地協の一般会計の収入および支出科目の統一化を図るとともに、地協会計については連合北海道の監査対象にしていくべきである。
 
2.産別派遣役員の給与還元金の改定等について
1)給与還元金の経過と今後の対応
@ 産別派遣役員の給与は、第1次答申(91年)で「連合北海道が全額負担すべき」としたが、全体的な財政事情から96年の新財政計画の実施にあたって、役員ランク区分による還元を廃止し、一律700万円として今日に至っている。
 また、第5次答申では、多くの産別から人材を登用する観点から役員派遣産別の負担解消に向け、「専従対策基金の創設」などの検討が必要としてきた。
 
A 現在の財政事情からは、連合北海道会費や地域活動資金、政策推進カンパ金・分担金の納入率の改善も十分でない中で、構成産別に新たな賦課金を求めることは難しい状況にある。
 しかし、給与還元金は、96年改定以降の据え置きにより産別負担が高まっており、全額負担できる財政状況にはないが、一定程度見直していく必要がある。また、5次答申の実効性を確保していく観点から、幅広い見地から専従役員を登用していく場合の措置を検討していく必要がある。
 
2)離籍専従による給与制度の整備と給与還元額の改定 
@ 今後、幅広い見地から専従役員の登用を求めていく場合、現行の給与還元制度だけでは不十分なことから、企業離籍によって専従するケースに対応する給与制度を整備していくこととする。
 離籍専従については、離籍前の属人給与等と今後整備するプロパー役員給与等の取り扱いを勘案して属人的に決定していくこととする。その場合、役職毎の年俸上限額を設定していくこととする。
 
A 産別派遣者の給与還元額の改定については、役職区分毎に離籍専従者に適用する年俸上限額の80〜90%を目安に派遣産別に対する還元金を見直していくこととする。
 役 職 区 分 離籍専従の年俸上限額 産別派遣の給与還元額
会  長  職
事務局長職
副事務局長職
執行委員職
  1,100万円
  1,000万円
    900万円
    850万円
    950万円
    900万円
    750万円
    750万円
                          ※ いずれも年額
 
3.プロパー出身役員の給与等の取り扱いについて
1)役職定年制の導入について
@ 連合北海道は、91年の第一次答申により、専従役員の人材を広く求める見地からプロパー出身の役員制度(定数2名以内、在任期間は登用から10年程度を目途とする)を導入してきた。
 しかし、広く人材を求める見地から役員登用しても、登用時の年齢によっては役職退任時期に不都合が生じていることから役職定年制度を導入することが適当である。
 
A 役職定年は、一般的に57歳をもって役員退任とするが、役員登用時の年齢によっては60歳を上限としていくことも考慮すべきである。
 
 ○ プロパー出身役員の役職定年制度
    役員の登用年齢      役員の登用期間及び役職退任年齢
  47歳未満で役員登用の場合

 
 役員の登用期間は、原則として10年とする。ただ し、10年を超えて登用する場合には57歳をもっ て役職退任とする。
  47歳以上で役員登用の場合

 
 47歳以上で役員登用の場合は、上記の規程によら ず、60歳を上限に役職退任とする。
 
 
 
2)役員給与制度の廃止について
@ 現行のプロパー出身役員に適用されている役員給与制度は、職員給与制度とは別体系となっているが、今後、職員 → 役員登用 → 役職退任における処遇の一貫性を持たせる観点から、これを廃止し、現行の職員給与制度に移行していくこととする。
 
A 職員が役員に登用された場合は、その者に適用されている年齢給+職能給に役職手当を新設して処遇する。新設する役職手当は、適用する職能給×0.5とする。
 なお、現行のプロパー出身役員が新制度への移行に伴って生ずる減収については、移行時に調整給を確定し役職定年時まで補償していくこととする。
 
3)退職金の取り扱いについて
@ プロパー出身役員の退職金については、財政事情もあり役員退職金制度を制定せずに、退職金の見合い分として、夏期・冬期一時金で0.5ヶ月分を支給しているが、処遇条件において、プロパー出身役員と職員とのバランスを欠く実態にある。
 また、プロパー出身役員の役職定年制の導入、役員給与制度の廃止に伴って、退職金の取り扱いについても、職員退職金制度と一貫性ある制度にしていくことが望ましい。
A したがって、今回の制度改定を契機に、プロパー出身役員の退職金見合い分の一時金支給(夏期・冬期 0.5ヶ月分)を廃止し、現行の職員退職金制度を適用していくこととする。退職金基礎基本給は、新給与制度で適用する退職時の基本給(年齢給+職能給)とし、勤続年数の適用は職員採用時から退職時までを通算する。
 但し、現行のプロパー出身役員に退職金見合い分として支給されてきた一時金支給総額を算定される退職金支給額から控除する。
 
B 職員が役員に登用された期間については、役職加算として、係数×役員在任期間を退職金支給率に加算する措置を講ずるものとする。
    ※係数は、役職定年時の役職手当/定年時の退職基礎基本給とする。
         (80,000/406,000=0.197)
 
C なお、現行の職員退職金支給基準については、世間水準とのバランス等を見ながら退職金水準のあり方について、今後、検討していく必要がある。
 
4.役員退任慰労金・支給基準の見直しについて
@ 役員退任慰労金支給基準は、93年度の第一回執行委員会において、それまで役員退任に伴う慰労金の取り扱い基準が規程されていなかったことから、当面の措置として現行の支給基準が決定され、以降、都度の執行委員会で確認・支給し、今日に至っている。
 
A 今次の答申において、プロパー出身役員の退職金の取り扱いを見直すとともに、離籍専従者の退職金の取り扱い基準を整備していくこととしており、今後の役員退任慰労金については、退職後の生活補償的な性格で支給される退職金とは明確に区分し、永年の役員退任という功労に対する報償的なものとして、役員退任記念品の基準額に改める。
 記念品の贈呈額については、役職及び役員在任年数によって、以下のとおり基準を設定する。なお、現行の規程では会計監査委員が対象となっていないが、今後はC区分で取り扱うこととする。
 
        〈改  正〉                〈現  行〉
                       
役 員
区 分
    在  任  年  数
1〜2 3〜5 6〜10 11年以上

A区分
 

5万円
 

10万円
 

30万円
 

50万円
 

B区分
 

3万円
 

7万円
 

15万円
 

30万円
 

C区分
 

2万円
 

5万円
 

10万円
 

15万円
 










 
役 員
区 分
 役 員 の 種 類
支  給  基  準

A区分
 
専従三役を対象、
在任一年につき15万円
 

B区分
 
専従執行委員・非専従 三役を対象
在任一年につき10万円

C区分
 
非専従執行委員を対象
在任一年につき5万円
 
 
 注)改正後の役員区分は、現行と同様とするが、C区分には会計監査委員を含める。
 
5.離籍専従者の退職金制度について
 
@ 今後、専従役員の人材を広く求めていく見地から離籍による役員専従制度を整備していくこと、役員退任慰労金の支給基準を改正していくこと等から、離籍専従役員の退職金の取り扱い基準を整備していくこととする。
 
A 退職金支給額の算定にあたっては、離籍専従の在任年数により現行の職員退職金支給基準を準用していくこととする。
 なお、退職時基礎基本給については、役員退任時の役職年俸を基礎に職員給与・一時金の支給基準(月例 12ヶ月 + 一時金 5ヶ月)で除して算出する。
○退職金支給基準=退職基礎基本給 × 離籍専従の在籍年数 × 支給率
  ○退職金基礎基本給=退職時の役職年棒額 ÷ 17ヶ月 
            ※但し、一円未満の端数がある場合は端数を切り捨てる。
 
6.60歳定年後の再雇用制度の導入について
1)再雇用制度の導入
@ 厚生年金の支給開始年齢の引き上げにあわせ、65歳までの雇用継続を企業に義務づける国の高齢者雇用安定法が改定された。このことによって、定年(65歳未満のもの)を定めている場合には、65歳までの定年の引き上げ、継続雇用制度を導入または、定年年齢の定めの廃止の何れかの措置(高齢者雇用確保措置)を講じることが義務づけられた。
 
A したがって、連合北海道においては、60歳定年後の再雇用制度を整備し、2006年4月1日以降、希望者全員を65歳(年金支給開始年齢)まで段階的に引き上げていくこととすべきである。
 



 
 2006年4月1日〜2007年3月31日 62歳
 2007年4月1日〜2010年3月31日 63歳
 2010年4月1日〜2013年3月31日 64歳
 2013年4月1日以降 65歳
 
2)再雇用制度の処遇条件
@ 再雇用者の賃金・一時金については、60歳定年時の50%程度を目安に、年間の総支給額で300万円を基準に検討する。
A 退職金については、60歳定年退職時に支給し、再雇用後の退職時には在職年数に応じて慰労金で対応すべきである。
B 諸手当は、通勤費、燃料手当(世帯主の1/2)として検討する。
C なお、短時間勤務(4〜6時間)の場合は、上記をベースに勤務時間に応じて支給条件を設定していくものとする。
              
                        
                                   以 上